いま、東北地方の企業経営者にとって最も大きな課題のひとつが「人手不足」です。特に専門知識が求められる経理部門では、採用難・育成難が同時に進行し、「担当者が辞めたら業務が止まる」「募集しても応募が来ない」といった声が増えています。全国的な人口減少と高齢化は、地方ほど深刻です。
総務省の調査によると、2010年をピークに日本の人口は減少に転じ、2060年には8,700万人まで減ると予測されています。その中でも青森・秋田・山形・岩手・福島といった東北地域は、生産年齢人口(15〜64歳)が全国平均を上回るペースで減少しており、企業が人材を確保すること自体が困難になっています。
この影響は営業職や技術職だけでなく、企業の基盤を支える「経理・総務・人事」といった管理部門にも及んでいます。特に経理業務は専門知識・経験・正確性が求められるため、人材の代替が難しく、結果として「属人化」や「業務停滞」を引き起こしています。
一方で、企業を取り巻く経営環境は常に変化しています。インボイス制度や電子帳簿保存法、社会保険料の改定など、会計・労務を取り巻くルールは年々複雑化しています。
こうした変化に対応できる経理体制を整えていなければ、ミス・遅延・税務調査リスクなど、経営への影響は計り知れません。
そこで注目されているのが、「クラウド導入」と「アウトソーシング」です。経理を“人に任せる”のではなく、“仕組みで支える”ことで、業務を標準化し、見える化し、安定した経営基盤を築く。この発想の転換こそが、これからの地方企業に求められる改革です。
引用|国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」
引用|厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和5年度」
引用|東北活性化研究センター「東北の人口動態と社会経済の現状」
東北地方では、若年層の流出が続き、労働力の確保が非常に難しくなっています。特に宮城県を除く5県(青森・岩手・秋田・山形・福島)では、大学卒業後の首都圏就職率が多い地域もあり、地元企業が採用活動を行っても応募がほとんどないという声も聞かれます。
厚生労働省の「有効求人倍率」によると、2023年度の東北平均は1.31倍。全国平均(1.32倍)と大差はありませんが、「求人があっても応募がない」「採用しても定着しない」といった質的な問題が深刻です。特に経理部門は資格や経験が重視される職種であり、若年層の応募が極端に少ない傾向があります。そのため、ひとりの担当者に業務が集中し、体調不良や退職で業務が滞る「属人化リスク」が顕在化しています。
引用|厚生労働省「第2章雇用情勢の動向」
引用|経済産業省東北経済産業局「東北経済のポイント」

東北の平均給与は全国平均よりも約15%低く、首都圏との格差は月額で10万円以上に及びます。厚生労働省の統計(2023年)によると、全国平均が31.8万円に対し、東北平均は27.1万円。給与水準の差はそのまま採用競争力の差につながり、「採用してもすぐ転職される」「人材が首都圏へ流出する」という現象が続いています。
引用|経済産業省東北経済産業局「東北経済のポイント」
引用|厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
帝国データバンクの統計によると、2023年の東北地方の倒産率は0.36%で、全国平均(0.28%)を上回っています。特に青森・秋田・山形で高い水準です。要因の多くは「人手不足倒産」と「後継者不在倒産」。つまり、採用難が経営存続そのものに影響しているのです。
引用|帝国データバンク「倒産集計 2023年度」
引用|帝国データバンク「東北6県企業『休廃業・解散』動向調査(2023)」
経理担当者が退職した場合、「会計データの引き継ぎができない」「給与計算のルールが不明」といったトラブルが発生します。特定の担当者にしか分からない状態。これが“属人化”の典型です。経理業務は企業の信用を支える根幹であり、この属人化を放置することは、企業経営の継続性そのものを脅かします。
ダウンロード資料|東北の企業経営者さまへ、経理最適化と人手不足の解決方法
グループ紹介|みらい創研グループ(公式サイト)
東北地方の中小企業では、経理を1人の担当者が担うケースが少なくありません。人手不足や採用難のなかで「任せられる人が限られている」「長年担当しているから安心」といった理由から、経理業務が属人化してしまう状況が多く見られます。
しかし、属人化が進むと、担当者の不在や退職によって業務が滞るだけでなく、会社全体の信頼性や経営判断にも影響を及ぼします。以下では、実際に中小企業で起こりがちな属人化の具体例を整理します。

経理担当者が休暇や体調不良で不在になると、支払い・請求・給与処理などの業務が一時的に止まり、経営全体に影響が出るケースがあります。
請求書の処理を特定の担当者だけが行う体制では、確認が入らず誤入力や支払い漏れが発生しやすくなります。取引先からの信頼を損ねる要因にもなります。
給与計算ソフトの設定や控除のルールを担当者しか把握していないと、退職や異動の際に引き継ぎが困難になります。不明点が生じても確認できず、従業員トラブルに発展することもあります。
経理担当者の判断に頼って仕訳処理を行うと、科目の使い分けが一貫せず、決算や税務申告時に修正作業が必要になります。税理士とのコミュニケーションも非効率になります。
会計ソフトやネットバンキングのID・パスワードを担当者が独占しているケースでは、緊急時に他の社員がアクセスできず、支払い遅延などのリスクが高まります。
日々の業務手順が文書化されていないため、担当者の退職と同時に「やり方が分からない」という状態が発生します。新しい担当者の教育に長期間を要することも珍しくありません。
資金の出入りを担当者がエクセルなどで個人的に管理していると、経営者がキャッシュフローの実態を把握できず、資金ショートのリスクを早期に察知できないことがあります。
社会保険や税務関連の提出書類を担当者のみが対応している場合、期限管理が曖昧になりやすく、遅延や罰則のリスクが高まります。
これらの課題は単なる「ミス」ではなく、企業の信頼を損ない、業務停止や金銭的損失につながる重大なリスクです。経営数値の信頼性が低下すれば、金融機関からの融資判断や取引先との信用にも影響します。税務調査への対応が遅れれば、追徴課税や罰金が発生することもあります。
さらに、担当者の心理的負担が増すことで離職が加速し、悪循環に陥るケースも少なくありません。人が辞めても業務が止まらない体制を整えること。誰が見ても同じルールで動く経理を実現すること。そのためには、「見える化」「自動化」「共有化」という3つの仕組みづくりが不可欠です。
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グループ紹介|みらい創研グループ(公式サイト)
経理担当者の退職や不在によって業務が止まる。そんな“属人化リスク”を根本から解決する鍵が、「クラウド化」と「アウトソーシング」です。従来の紙やエクセル中心の経理体制では、情報が分散し、担当者の知識や判断に依存せざるを得ません。
しかし、クラウドツールの活用と専門家への委託を組み合わせることで、経理は「人に依存する仕組み」から「仕組みで動く経理」へと生まれ変わります。ここでは、その具体的な方法を3つの視点から解説します。

① 請求書処理の自動化
クラウド会計を導入することで、銀行口座やクレジットカード明細と自動連携し、入出金データの取り込みから仕訳までを自動処理できます。これにより、転記ミスや入力漏れを防ぎ、請求業務のスピードと正確性を両立します。さらに、クラウド上での一元管理により、経営者・税理士・社労士が同時にデータを確認できるため、「担当者に聞かないと分からない」という属人化を解消できます。
② 業務全体の効率化
会計・給与・勤怠・経費精算など、バラバラに管理されていたデータをクラウド上で連携させることで、重複入力や転記作業を排除し、日常業務をスリム化します。また、ペーパーレス化によって在宅勤務や支店間での共有も容易になり、自然災害や感染症などの緊急時にも業務を継続できる体制(BCP:事業継続計画)の構築にもつながります。
③ アウトソーシングによる安定運用
クラウド化と同時に有効なのが、経理・給与・労務の外部委託(アウトソーシング)です。専門家に業務を任せることで、法改正や制度変更への対応を確実にし、社内の限られた人材を本業や営業などのコア業務に集中させることができます。特に、みらい創研グループが提供する「みらいまるっとクラウド!」では、税理士・社労士・行政書士がチームとなり、クラウド導入から日常運用、給与・労務サポートまでをワンストップで支援しています。
東北地方の企業では、首都圏に比べて導入後のサポート体制に不安を感じるケースも多く見られます。みらい創研グループは仙台を拠点とする総合士業グループとして、現場の業務フロー設計からクラウド導入・定着・運用支援まで、地域に密着した支援を提供しています。専門家によるアフターサポートがあることで、経営者は安心してバックオフィス改革を進めることができます。
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グループ紹介|みらい創研グループ(公式サイト)
東北の中小企業が抱える人手不足の根本原因は、「人に頼る経営」から脱却できていない点にあります。経理業務を“人の経験”に依存するのではなく、“仕組みと専門家”で支えることで、経営は安定します。
みらい創研グループの「みらいまるっとクラウド!」は、経理・労務・税務をワンストップで支援し、クラウド導入とアウトソーシングによって、中小企業の人手不足を根本から解決するサービスです。経理が変われば、経営が変わる。この一歩を踏み出すことが、東北の企業の未来を守る最良の選択です。
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