「うちの経理担当はしっかりしているから大丈夫」。多くの経営者がそう信じています。しかし、経理業務を一部の担当者に任せきりにしてしまうと、思わぬ“人的ミス”や“情報漏洩”が、経営全体を揺るがすリスクへと発展する可能性があります。経理は、企業活動の基盤を支える重要な部門です。請求書処理、入出金管理、給与計算、税務申告など、その一つでもミスが起これば、資金繰りや取引信用に深刻な影響を及ぼします。
特に属人化が進んだ環境では、担当者の判断や習慣に頼った処理が常態化し、確認や承認のプロセスが不十分なまま業務が進むケースが少なくありません。さらに近年では、リモートワークやクラウド会計の普及により、社外から経理情報へアクセスできる環境が広がった一方で、セキュリティ意識の低下や情報管理の不統一といった新たなリスクも浮上しています。
本記事では、実際のトラブル事例をもとに、経理業務で起こりやすいヒューマンエラーの実態と、クラウドを活用した「業務の見える化」「セキュリティ強化」の方法を解説します。
請求書の金額を打ち間違えた。経費精算で科目を誤った。こうしたミスは一見小さなものに見えますが、積み重なれば大きな損失や信用失墜につながります。東京商工リサーチの調査によると、2023年度に「不適切な会計処理」を公表した企業は58社。3年連続で増加しています。
内訳を見ると「経理・会計処理ミス」が全体の半数を占め、人的ミスや管理不備が企業経営を揺るがす事例が増えています。これらの不適切処理は上場企業だけの問題ではありません。中小企業でも、担当者任せの処理やチェック不足により、重大なミスや遅延が発生するケースが後を絶ちません。
引用|東京商工リサーチ「2023年度の不適切会計開示は58社・62件3年連続で増加」

経理担当者でも見落としやすいポイントを整理すると、次の8つが挙げられます。
請求書の入力ミス
金額や日付の誤入力が入金確認ミスや請求漏れを招く。
経費精算の科目誤り
交際費・会議費など区分を誤ると、税務調査で修正が必要に。
仕訳の二重計上・漏れ
同一取引を複数担当者が重複処理し、損益の整合性が崩れる。
未払・前払処理の失念
年度をまたいだ費用の処理漏れが、申告漏れや追徴税の原因に。
給与・社会保険料の算定誤り
標準報酬月額の設定ミスで過払い・過少納付が発生。
固定資産の減価償却漏れ
設備投資の反映漏れで、利益過大計上や資産評価の誤りが生じる。
消費税処理の誤り
仕入税額控除の計上漏れが資金繰り悪化に直結。
チェック体制の不十分さ
ダブルチェックの欠如により、誤りがそのまま決算へ反映される。
実際の現場では、こうしたヒューマンエラーが多発しています。その多くは、担当者の「ちょっとした思い込み」や「確認不足」から始まります。経理ミスを繰り返す企業には共通する構造的な課題があります。
代表的なのは、担当者任せによるチェック体制の不備。業務フローの不透明さ(誰が何をしているか不明確)。複雑な計算を人力で処理している。ミス発生後の修正・再発防止策が仕組み化されていない。つまり、経理ミスの原因は“担当者の能力不足”ではなく、“仕組みの欠如”にあるのです。
ダウンロード資料|経理に任せて大丈夫?人的ミスによるトラブル事例と対策
グループ紹介|みらい創研グループ(公式サイト)
見落としや入力ミスは、すぐに数字として表れにくいため、軽視されがちです。しかし、修正や再確認にかかる時間・人件費は想像以上に大きく、年間で数十〜数百時間が失われているケースもあります。
さらに、経理の不透明さが続くことで、経営数値の信頼性が下がる。銀行や取引先の信用調査に悪影響を及ぼす。税務調査で追徴や是正を求められる。といった連鎖的リスクが発生します。

属人化とは、特定の担当者に業務が集中し、その人しか分からない状態になることです。この状態では、ミスが発生しても気づかれない、担当者の退職で業務が停止する、不正や情報漏洩を防げない。といった深刻な事態を招きます。
ミスや属人化を防ぐには、業務を“見える化”し、仕組みでチェックできる体制づくりが欠かせません。紙やExcelでの管理には限界がありますが、クラウドを導入すれば、リアルタイムで業務状況を確認し、入力・承認・監査をすべてオンラインで管理できます。さらに、アクセス権限やログ管理を組み合わせることで、外部への情報流出を防ぎながらセキュリティも強化できます。
経理業務の見える化とは、「人の経験」ではなく「仕組み」でリスクを防ぐことです。業務内容や責任の所在が明確になり、ミスや不正を早期に発見できます。経営者もリアルタイムで状況を把握できるため、判断の精度とスピードが向上します。見える化は、経理を守るだけでなく、経営を強くする仕組みづくりなのです。
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経理業務の精度とスピードを高めるためには、システムの力を活用することが不可欠です。社会保険料、消費税、源泉税など、法改正が頻繁に行われる分野では、常に最新ルールへの対応が求められます。こうした複雑で更新頻度の高い処理を人手で行うのは限界があります。クラウド会計や勤怠管理システムを導入すれば、計算や更新を自動化でき、担当者の負担を大幅に減らせます。
さらに、データがクラウド上で一元管理されることで、入力や転記の手間を削減し、整合性チェック機能によりミスを早期に検出することが可能になります。これにより、経理の正確性とスピードを両立させることができます。

クラウドを活用すれば、経営者・管理者・税理士が同じデータをリアルタイムで確認できます。「担当者がいないと分からない」「資料が見つからない」といった問題を解消し、業務フロー全体を透明化します。
アクセス制限、多要素認証、データ暗号化など、クラウドには高度なセキュリティ機能が標準装備されています。みらい創研グループでは、専門家が企業の業務実態に合わせて最適なセキュリティ運用を提案し、導入後のサポートまで一貫して支援します。
クラウド導入により、経理は“担当者の経験と注意”に頼る仕事から、“仕組みで守る業務”へと進化します。データの一元管理によって情報の抜け漏れを防ぎ、業務の正確性とスピードが飛躍的に向上します。また、経営者がリアルタイムで数字を把握できることで、資金繰りや投資判断も迅速化。属人化を防ぎながら、経理の負担を減らし、経営全体の安定と成長を支える強固な仕組みを実現します。
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経理業務のヒューマンエラーや属人化は、どの企業にも潜むリスクです。「少しの入力ミス」「うっかり忘れ」が積み重なると、会社の信用・資金・人材にまで波及します。そのリスクを未然に防ぐには、見える化・セキュリティ強化・専門家による伴走支援が欠かせません。
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